みつばちのダニ対策 blog

西洋みつばちを飼う方が悩まれるダニ対策情報をアップしてます

シュウ酸噴霧による最適なダニ対策 後半

引き続き

スイスはベルヌの、Agrocope研究所、養蜂研究センターのレポート

"Application optimale d'acide oxalique par evaporation"(シュウ酸噴霧による最適なダニ対策) 後半です。 

噴霧器に興味のない方は、どのくらいダニがいたら危険なのか、ダニの数に注目して読んだらおもろいかもしれまへん。

 

 

ガス式シュウ酸噴霧器

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2001年と2003年に、我々は電気もしくはガスで動くシュウ酸噴霧器でテストを行った。その結果Varrox及びVarrexという器具は無卵期のコロニーへのダニ対策に高い効果(95%)があることがわかった。"Isenring"や"Kruso"といったガス式しゅう酸噴霧器は気化したシュウ酸を運ぶのに暖かい空気の対流を利用するタイプで、平均的な、つまり節度のある結果しか得られなかった。一方、ファンが組み込まれたVarrogazというガス式シュウ酸噴霧器(以降OSGと呼ぶ)は、電気式の噴霧器と同じくらいの効果が見られた。

Eduard Fehr(養蜂家)は、経験により、ダクトを二重にし、その間に油を入れて調整している。二重に仕切ることでシュウ酸が急に冷えて、凝結するのをさけることができる。送風ファンが気化したシュウ酸を巣の中に送り込む。この器具の効果を電気式のVarroxと比較して試験した。

 

噴霧器の詳細
タブレット状のシュウ酸をOSGの噴霧室に入れる。噴霧室の開閉レバーがすぐ後ろについていて、自動的に閉まるよういなっている。この部屋の下にヒーターがついていて、ガスで加熱されるようになっている。5分後に、ヒーターの温度は200℃になる。シュウ酸は気化し、発射砲で前に噴射する。発射ダクトは二重構造で、間にオイルが入っている。そして、超過圧力弁で保護されている。オイルがあることで、内側のダクトを急速に冷さず、シュウ酸が凝結しないようになっている。シュウ酸噴霧室の隣に、気化したシュウ酸を巣門に送り込む送風機付きのダクトがある(写真2)。錠剤状のシュウ酸は、ヒーターで2分で気化する。

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写真2 : ファンによるシュウ酸のパワフルな噴射

比較と確認処理のためにVarroxという電気式のシュウ酸噴霧器を使った。この噴霧器を使う場合は(写真3)、巣箱の底に網を貼り、この網の下にダニ用の引き出しをつけ、引き出しの中に噴霧器を入れて使う。

 

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写真3: 電子式シュウ酸噴霧器 Varrox

テスト方法
テストを行うグループはdadant巣箱で10個のコロニーを持っている。9月初めに、FAMディフューザーを使って10日間のギ酸による処理を行った。
シュウ酸処理では、OSGを使う場合は2,4gのシュウ酸(2錠分)、Varroxでは2gのシュウ酸を使い、2004年12月外気温5度〜8度の時に、無王群に処理を行った。OSGでは、巣箱一個あたり2分間、Varroxでは3分間の噴霧をおこなった。そして12月23日に確認処理として全ての巣箱にたいして、Varroxによるシュウ酸噴霧をおこなった。

効果
シュウ酸処理、もしくは確認処理により落ちたダニの数は、有効ダニ数の100%を占めた。OSGによる平均除去率は95%(88.5%〜100%)、比較でおこなったVarroxの処理では91%(58%〜99%)だった。58%という値が出たことで、Varroxが若干劣る結果となったが、このコロニーについては、最後に処理をしたためバッテリがかなり弱くなり処理が十分でなかったということを加味しなければならない。他の9群については平均して95%という結果がでていて、これがこの噴霧器の効果ということが言える。

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 表1:OSG噴霧器とVarroxによる結果(縦軸:処理効果、横軸:巣箱の番号)

この二つの噴霧器は見たところ同じような効果があるといえる。しかし、OSGについては、巣箱に挿入されるダクト部分が、凝結したシュウ酸によって吹口がふさがれることがわかった。これは巣門の高さが低いので、これに合わせて吹口を狭めることによっておこる。この場合、ダクトの入口は定期的にチェックし、必要であれば、清掃しなければならない。

 

シュウ酸処理によるダニの落下数

シュウ酸対策では、8月上旬に一日のダニ落下数に応じて ギ酸を使うか、ティモールをベースとした製品を使って長時間処理を1回もしくは2回行うのがいい。すでに述べたとおり、この時期に行う対策の目的はダニの約80%を抑制することにある。こうすることで、最後の産卵時期のダニの寄生を減らすことができる。冬季にみつばちを健康に保ちたければ不可欠な方法である。

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表2シュウ酸処理および確認処理によるダニの落下数(縦軸ダニの数、横軸は群数)

この研究において、8月上旬のみつばちの群におけるダニの1日の平均落下数は、1.4匹だった(最低0、最高7.4)。このためFAMディフューザーを使った10日間のギ酸処理を行ったのだ。シュウ酸処理の時には、まだ一群につき104匹のダニが落下していた(最低16、最高265)。確認処理の時には一群につき、8匹だった。どの群においても500匹という限界値を超えるには程遠かった。オルタナティブなダニ対策では、確認処理においてダニの落下数は50匹を超えてはならない。我々の結果は、これについてもクリアした。処理効率が58%にしか達しなかったVarroxで処理した一群を除いて。

 

結論
今回の研究で試したガス式シュウ酸噴霧器(OSG)は、非常に高い効果があり、多数の試験がおこなわれたことのある電気式シュウ酸噴霧器に匹敵するといえる。

(以下省略しますが、興味のある方はご連絡ください。)

 

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